
バトルvsインド人
in ジャイプル
「BRICKS」という言葉をご存知だろうか? これは、いま世界でもっとも経済が発展している国々を表しており
Brazil(ブラジル)
Russia(ロシア)
India(インド)
China(中国)
South Africa(南アフリカ)
のことを指している。
これまでの光景からは想像できないが、インドという国は実は世界でもっとも経済が成長している国として非常に注目されているのである。
ではインド人たちがその恩恵に預かっているかといえば、そうでもない気がする。
街中に立ち連ねている商店は決して洗練されているとはいえず、それどころか朽ちかけており、店頭では時代遅れなテレビや洗濯機が目玉商品として売られている。
行き交うインド人たちもまた決してキレイな格好をしておらず、それどころかうす汚れた服装をしており、並べられている商品を物珍しげに眺めている。
それでも、そこで暮らしているインド人たちはそんな境遇を悲観するでもなく、日々の生活を活気を持って過ごしている。
そんな光景を見て、古き良き時代といわれた昭和の日本もこんな感じだったのではと思い、こんな生活もいいかなという気持ちがわいてきた。実際に街へ降り立つまでは。
バスに揺られて数時間後、最初の目的地であるジャイプル市のアンベール城へ到着する。
始めて訪れるインドの街である。いったいどのような感じであろうか? 身が引き締まる思いでバスを降りる。
「ヘイ、ジャパニー!」
「おみやげ買ってけー!!」
「安くしとくよー!!!」
その瞬間、それまで何気ない生活をしていたインド人がいっせいにオレたちのほうへ群がってきた。野性味を帯びて迫りくるその様は、エサに群がるノラ犬のようである。
余談ではあるが、インドの物売りは英語だけでなく、このように日本語も話すことができる。それどころか中国語やフランス語など世界各国の言語に通じているらしい。
もっとも、お金の単位しか話すことができないのであるが。
あっけにとられる間もなくオレは、安っぽい飾り物を手にしたひとりのインド商人に捕まってしまった。
インド商人「おみやげ、千円。三個で千円!」
オレ「い、いや、いらないんですが...」
「五個で千円!!」
「だからいらないと...」
「全部で千円!!!」
「...(怖)」
何という押しの強さ! いくら断っても決して引き下がってくれない。
オレの脳裏には、かつて渋谷の街中で何時間も監禁されヘンな絵を買わされた、悪徳商法の被害にあった経験(涙)が思い出された。
幸いその時はクーリングオフを使えたから事なきを得たが、おそらくインドではクーリングオフは使えない。
身の危険を感じたオレはインド商人から逃げ出した。
しかし まわりこまれてしまった(つД`)・゚・
なんとインド商人は、オレが逃げこんだジープに張りついてきた。
旅行客に物を売るためにインディ・ジョーンズばりのアクションを繰り広げるインド商人。こんな物売りがほかの国に存在するであろうか? 相手は特殊訓練を施した人間ではなく、ただの物売りのはずである。
さすが、世界でもワーストレベルと噂されるインド商人。しつこさのレベルが違う!!
そして、そんなしつこいインド商人とのバトルはこれから日本へ帰国するまでの間、エンドレスで繰り返されるのであった...
アンベール城の観光が終わりジャイプル市街の観光をする。
今度はさっきみたいな物売りはいなさそうである。辺りを見ていくぶん安心する。
バスを降りて数歩歩いた後、後ろから鈴の音が聞こえてきた。
「マネー!」
それは物乞いをする小さな子どもの姿であった。
目は口ほどにものを言うという言葉がある。
生活に苦しんでいる子どもの視線は、何ともいえない悲しみをたたえており、何も語らずともその瞳から苦しみが伝わってくる。
そして、このとき見た子どもの視線もまた、旅行客からカネを騙し取ろうというイタズラ小僧のような目をしていた。
間違いない、コイツらウソをついている。コイツらニセの物乞いだ!
瞬時にそう察知したオレは群がる糞ガキどもを無言でなぎ倒しながら先を急ぐことにした。
なんて国なんだインド! どこへ行っても老若男女関係なく、カネを騙し取るために旅行者にまとわりついてくる。まったく油断もスキもあったものではない!!
見かねた一人のツアー客がひとりの子どもに飴玉を与えていたが、その人は次の瞬間、大量の子供たちに取り囲まれ身動きのとれない状態に陥っていた。
そのときの子供の目が「うわーい、ありがとう」という無邪気な目ではなく、「もっとよこせ」というカツ上げをしている悪ガキの目になっており、オレはなんだか悲しかった。
ジャイプル市街の名所、風の宮殿。
写真を撮る間もインド商人たちが絶えずまとわりついてくる。
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