![]() ソウルに散った恋という花 |
| 実はこの時、オレの友達が韓国へ留学していた。 なのでオレは、北朝鮮行きの前日にソウルで会うことを、彼女と約束していた。 何気なく「彼女」と書いてみたが、実は留学した友達とは女の子である。オレより年下の、かわいらしい女性だ。 北朝鮮へ行ってしまえば彼女に会うことができないかもしれない。その前に思い残すことなく旅立ちたかった。最後に一目会って、自分の想いを伝えてから北朝鮮へ向かいたかった。 ソウルでは東大門で待ち合わせをしてロッテワールドでデートをする予定だった。そして夜はスィートなホテルに泊まり、二人きりで一夜を明かす予定だった。 そんなオレが 「彼氏に話したら大喧嘩になって、会うことができなくなりました。ごめんなさい」 という訳の分からないメールを彼女から受け取ったのは、韓国出発の前日であった。 そりゃないぜセニョリータ、こっちは君のためにスィートなホテルを予約したんだからさー。 つーか、彼氏がいるって大事なこと、一番はじめにちゃんと言おってね! とりあえずオレはほとんど哀願に近い抗議のメールを送り、待ち合わせ場所であった東大門へ向かうことにした。 そして当日、彼女は現れなかった。 当たり前か。 そもそも「東大門で待ち合わせ」といっても、よく考えれば東大門のどこで待ち合わせをするのか、まったく話していなかった。東大門っていったらわりとメジャーなスポットらしいし、渋谷のハチ公と同様、その言葉だけで待ち合わせ場所の目印として通じるかなと思っていた。 しかし、実際の東大門はロータリーのど真ん中にあって歩行者は進入できず、待ち合わせ場所の目印として利用することは不可能だった。 これはもう、「東大門で待ち合わせ」という情報だけで相手を見つけるのは、「新宿駅で待ち合わせ」という情報だけで携帯も持たずに相手を探そうとするのと同じことである。これでは万一彼女が来ていたとしても、オレたちがお互いを探し出すことは不可能だったのではないか? そうだ、彼女は来ていたのだ。約束を守って東大門へ来たけれどオレを探し出すことができなかったんだ。だから彼女に会うことができなかったんだ! きっとそうだ、そうに違いない。そういうことにしといてください(泣) ふん、まぁどっちでもいいさ。占い師のオッサンだって昨日「年下の女性はやめとけ」と言っていたし、彼女と会えなくたって悲しくなんかないもんね(涙)。 こうして彼女と出会うことがかなわなかったオレは、傷心のまま一人さみしく東大門を後にした。 折からの雨がやけに冷たく感じた。 ![]() ↑失恋の思い出がつまった忌まわしの地、東大門 失恋の気持ちを紛らすため、オレは梨大へ向かいオシャレな美容院で髪を切ってもらうことにした。 ちなみにここの値段はカットだけで1万2000ウォン(日本円で1500円弱)である。安い。
今どきの韓流ヘアでイメチェンしたオレは、弘大のフリーマーケットをぷらぷら見物していた。 そこでたまたま若い芸大生が絵を描いていたのを見かけた。気を紛らすためにオレは、彼に自分の似顔絵を描いてもらうことにした。
こうしてソウルの若者文化を満喫したオレは、スィートなホテルへ一人さみしく泊まった(ToT)。 明日からはいよいよ北朝鮮旅行である。何が待っているのか分からない。つーかそれ以前に、無事に生きて戻れるのか? 北朝鮮行きを直前に控え、さすがに怖くなった。 この世の名残と失恋の気持ちを忘れるため、オレはその夜、彼女と一夜を明かす代わりに有料のアダルトビデオを見ながら一夜を明かした。 オレは自分が、いろんな意味でみじめに思えた。
|