バトルvs北朝鮮人



これまでいろんな国を旅して思ったことだが、日本人は海外でやたらと珍しがられる。
世界の人口60億人に対して日本人1億人だから、およそ60人に1人が日本人な訳でそれほど珍しいわけではないのだが、それでもなぜか珍しがられる。
例えばモンゴル人に比べて日本人は40倍も多いはずなのに、モンゴルへ行くと日本人は珍しがられる。
ベトナム人に対して日本人は1.5倍も多いのに、やっぱりベトナムへ行くと日本人は珍しがられる。
インド人に対して日本人は1/10なのに、それでもインドへ行くと日本人は珍しがられる。

ちなみに今回のツアー、総勢600人ほどの韓国人に対して、日本人はオレ一人である。
その珍しさとかわいがられ方たるや、ツチノコ並みの扱いである。
おかげでオレは600人いるツアー客の中でもちょっとした有名人。たいていのことは言ったら叶う。ウハウハである。
例えば日本の道端で「ねぇねぇネーチャンかわいいねぇ。写真一枚撮らせて」と言っても絶対相手にされない男が、同じことをここでやると「えぇいいわよ、せっかくだから一緒に撮りましょう」と若い韓国娘が媚を売ってくる。
日本の道端で「ねぇねぇネーチャンかわいいねぇ。今夜オレんトコ来ない?」と誘っても間違いなく警察呼ばれる男が、同じことをここでやると「えぇいいわよ、せっかくだから私とイイコトしましょ」と若い韓国娘が誘惑をしてくる。
...はずであるが、実際にはオレにそこまでのハングル語を話す能力がないのでこの状況を活かしきれないというかそもそもツアー客に若い韓国娘がまるでいないということは残念でならない(泣)。

さて、そんな日本人がもし北朝鮮へ行くといったいどのような扱いを受けるのだろうか?

ここは金剛山ホテル、北朝鮮ではちょっとした観光地である。
なぜ観光地かというと、このホテルは外国人たちへ自らの威光を伝えるべく北朝鮮人たちによって建てられた、メイドバイノースコーリアンのホテルである。
さすが北朝鮮人たちが国の威信をかけて作ったホテルであり、その外装は他の一流ホテルと比べても遜色なく、写真だけ見せても「これが北朝鮮?」とは信じることができない。

金剛山ホテルのシャンデリア

ホテル名物、金剛山の一枚画


しかしさすが北朝鮮人たちが国の威信をかけて作ったホテルだけあって、そこで働いている女性は皆見目麗しい北朝鮮美女軍団である。
淡い色のチマチョゴリを着た彼女たちの姿は実になまめかしく、そそる。萌える。これはゼヒ、旅の思い出に写真を撮りたい。
「アンニョンハセヨー。おネーちゃんたちきれいだねー。よかったら、つーかよくなくても、写真一枚撮らせてー」
「ダメであります」
「いいじゃんケチー、どうせ減るもんじゃないんだしさー」
私は身も心も、すべては首領様に捧げているであります
。他の殿方に心を預けることはできないであります。帰るであります」

何というガードの堅さ、これまで外国で落とせなかった女子はおらず、『失恋』の二文字など経験したことのない(数日前経験したばかりじゃないかって? そんなことは忘れたさ!(号泣))このオレをあっさりソデにするとは! オッチャンはショックだぞ(涙)

ところでこの北朝鮮人娘の「であります調」、人呼んでバハムートラグーンのタイチョー言葉、あるいはクロノクロスのソルトン言葉とも呼ばれるこの口調であるが、北朝鮮の人たちは動詞を 「ニダ(日本語の「です」に相当)」で終わらせることが多く、しかもやたらそれを強調するため、こうして日本語に直すと「〜であります」という形になるの であります。

さて、ここ金剛山ホテルでは北朝鮮式のバイキングがウリらしい。
そういや腹減ったな、せっかくだからここで飯食っていこうか。
「アニョハセヨー。アイウッドライクトゥハブアディナー。ウェンイズレストランオープン?」
「私、英語は分からないであります」

んだよー、外国人招くホテルなんだから英語くらいできろよー。
「えーとじゃあ、チョヌンパプモクゴシッポヨ...」
慣れぬハングル語に苦戦しているオレは、気がつくとさっきとは別の、鮮やかな色のチマチョゴリを着た北朝鮮女性たちにすっかり取り囲まれていた。
「きゃー見て、日本人よ、きゃー」
「ねー、日本人もアソコ触ると固くなるみたいだよー」
「あ、こいつ赤くなってる、かわいいー」


本来ならこの逆ハーレム状態に身も心もウハウハであるが、悲しいかなここは日本との国交が存在しない北朝鮮という国、万が一騒ぎを起こしたら日本大使館といえどもなすすべはなく、二度と日本の土を踏むことができぬまま北朝鮮の地で一生を終えることだろう。それは拉致ではなく逮捕という形で。オレは手出しができずに悔しいであります。

このメス犬どもがー! 人が手出しできないのを知ってていい気になりおってーー!!  いいか、ここが日本だったらなー、そのチマチョゴリを引き破ってお前ら全員ひぃひぃ言わせちょるわーーー!!!

なんて、日本人のアホが北朝鮮をネタにしてバカで下品な文章を書いてることが知れたら、例え無事に日本へ帰国した今でも工作員に消される恐れがないとも限らない。なにしろオレは、ここへ来るのに日本の個人情報を北朝鮮に売り渡したのである。日本へ帰ったとしてもタダですむはずがない。なので、この話はこの辺で止めておくであります。


すったもんだの末、夕食を食べるにはフロントでチケットを買う必要があると淫乱北朝鮮娘に教わったオレは、その言葉に従いフロントへ足を運んだ。
「アニョハセヨー、チケットプリーズ」
「私、英語は分からないであります」
おい、こいつもかよ。本当に外国人招くつもりあるのかよ。
「えーとじゃあ、チョヌンピョサゴシッポヨ...」
慣れぬハングル語に苦戦しているオレは、気がつくと襟元に金日成バッチをつけた北朝鮮人スタッフたちにすっかり取り囲まれていた。

なんだなんなんだお前ら、なんで日本人を見るとそうみんなで取り囲むのだ。拉致されそうで怖いんだよー!

「アナタ、日本人デスカ?」
その中でも一番厳つい顔をした兄ちゃんが日本語でオレに話しかけてきた。あぁ、他の国では日本語で話しかけられると安心するのに、北朝鮮ではまったく安心することができないのはなぜだろう?
「ネー、チョヌンピョサゴシッポヨ...」
オレは会話帳を指差しハングル語で兄ちゃんと会話していた。北朝鮮人の人たちには、日本の会話帳が珍しいらしい。オレに見せてくれと言ってきた。
その言葉につられて無意識のまま手渡すオレ。そして、彼の手元に渡った瞬間にオレは気づいたのであった。

そう、オレが渡した会話帳、それは韓国国旗が表紙にあるという理由で入国時に没収されそうになった、あの会話帳である。
そして、めざとくもスタッフの兄ちゃんに表紙の韓国国旗を発見される。

......

もしかしてこれは、覚せい剤持ち込んだのがバレたのと同じくらいヤバい状況なのでは?

兄ちゃんはオレの名前を確認した後、無言でオレにチケットを渡した。
もし彼が国家保安法違反の罪として首領様に密告したらオレはどうなるのか? 悲しいかなここは日本との国交が存在しない北朝鮮という国、万が一騒ぎを起こしたら(以下略)、二度と日本の土を踏むことのないまま(以下ry)。
あの、お兄さん、これから首領様に密告なんてしないよね? するはずないよね? オレの気のせいだよね? もしするつもりならやめてー(泣)。

こうしてさんざん苦労して、身の危険を侵してまでしてたどり着いた北朝鮮式のバイキングとは、キムチがあること以外は特にふつうの料理だった(涙)。唯一北朝鮮らしさを感じたことは、バイキングにも関わらず食べ物の取る順番を制限されるという、あの国特有の徹底した管理体制っぷりくらいである(号泣)
僕はもう疲れました...



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