温泉へ行こう モンゴル編


「しゅんさーん、大丈夫ですのー?」
「ビルグーンは優しいんだね。でも心配ないさ、イテ。
ほ、ほら、この通りさ。ほ、は、とりゃー、イテテ」

「あんまり大丈夫じゃなさそうですねー。温泉に入ってゆっくり休んでください」



そういえば今回の旅行は、オゴタイハーンの隠し湯に入れるというのがウリだったのだ。
ちなみにオレは、三度のメシより温泉好き、三度の温泉より混浴露天風呂好きと言われるほど温泉好きな男である。
さすがに混浴露天風呂までは期待できないが、オゴタイハーンの隠し湯といえばかなりの期待が持てそうである。


「すいませーん、温泉はどこですかー?」
「温泉ですね、こちらへどうぞ」
「お、準備がいいね。じゃあお願いしまーす」


支配人の女性(女将といったところか)に案内されて温泉に向かう。果たしてオゴタイハーンの隠し湯とはどのようなものか?


「こちらになります」
「えっ?」




「あの、これ...」
「温泉です」
「温泉です、じゃねぇ。これはタダのお風呂だろ! そもそも温泉というのはなぁ、日本では緑がパーっと、サーっと広がって、石がワーっとドカーっと...」
「そんな長嶋茂雄みたいなこと言われても分かりません。とにかくウチではこれしか用意できません」
「しゅんさーん、がまんしてくれませんかー」

ビルグーンに悲しげな目をされて、仕方なしに引き下がるオレ。


それにしても、である。隠し湯というからには武田信玄の隠し湯のような、緑がパーっと、サーっと広がって、石がワーっとドカーっと存在する温泉を想像していた。
日本人にはこれで十分理解できる表現であるため補足する必要はないだろうが、念のため写真で説明するとこんな感じである。


緑がパーっと、サーっと広がった、武田信玄の隠し湯


しかし現実はかくの如しである。







もう一度見てみようか。



理想


現実





今度は左右に並べてみよう。


理想

現実





違 う (ToT)






「おっ母、オラ、国に帰りてぇ」

お湯の出ない温泉を前にして、オレは寒さと切なさで身を震わせていた。つーか、「お湯の出ない温泉」って、そもそも温泉と言えるかゴルァ(゚Д゚)



温泉から上がったオレはプーチーさんに不満をぶちまけていた。
「という訳でさー、なんか温まる飲み物ないー?」
「じゃあこれなんかどうです?」
そういってプーチーさんはオレに酒を勧めてきた。
「お、いいね、じゃあ乾杯」

オレはすっかり忘れていた。モンゴル人は同じモンゴロイドであっても、日本人よりもはるかに酒に強いという事実を。



その後の展開は...まぁ各人で想像して頂きたい。
とりあえずオレは『地球の歩き方』編集部にひとこと言いたい。
モンゴル旅行に必要な荷物として、薬、日本食のほか、ウコンも入れてください。