(続き)




オレたちの会話はその後もとりとめもなく続いていた。
星空の下、若い男女が二人きりで時を忘れて語り合う。その行為にロマンを見出すのは、国境を越えて不変であるものかもしれない。


川の向こうに一隻の船が見えた。ビルグーンを誘って行ってみることにする。
「この船、動くんだろうか?」
「どうでしょう?」

そんな会話を交わしながら船に乗り込んでいる。


船首に二人ほど座ることのできるスペースがあった。横に並んで腰をかける。
「ビルグーンは海を見たことがあるかい」
「はい、日本に来たとき一度だけあります」
「こんな船に乗って海へ出かけたら、面白いだろうなぁ」
いつか、ビルグーンと船旅をすることができたらどれだけ楽しいだろうか? オレは、そんな夢のようなことを思い描いていた。

「でも、船酔いしそうです。私、一度だけ船に乗ったことがあります。すごく酔ってしまって大変でした」
「ビルグーンは船に弱いんだ」
「私、あれに乗ってみたいです。日本の湖にあって二人で乗る。あれ、何でしたっけ?」
「あぁ、スワンボートだね。今度日本に来たら乗ってみようか」

彼女と二人でスワンを漕ぐ。それもまた、楽しいかもしれない。



いつしか話も尽き、オレたちは黙りこくってしまった。
二人の間に流れる沈黙。沈黙の時間が長引と共に、彼女への想いが募る。
そして、その想いが膨らむほど息苦しくなり、次の言葉を切り出すのが難しくなっていく。
それは彼女も同じなのか、横を向いてうつむいたまま、何も語らなくなった。


オレは次のひと言を切り出すため気持ちを落ち着かせていた。
今にもあふれ出しそうな彼女への想い。それを懸命に抑えつけて気持ちを整理する。
オレは一度眼を閉じた。そして心を固めて眼を開き、彼女の眼をはっきりと見た。


「ビルグーン」
そう口にしようとしたその時である。










欧米人らしい子どもの声 「ママー、見てー。お星様さまがとてもキレイ」
母親らしき声 「これジョージ、そんなにはしゃぐんじゃありません」
父親らしき声 「ジョージは本当にここが好きなんだなぁ」
「うん、大好き。ねぇパパ、絶対また遊びに来ようね。約束だよ」
「あぁ、約束だ」
「さぁジョージ、もう帰りましょう」
「はーい」




















殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す


あの欧米人、絶対殺すー!!!




テメーらいったい何人だ?
それでも世界一名誉を重んじる国のイギリス人か!?
それでも世界一オシャレな民族と自負しているフランス人か!?
若い男女二人だけの世界を邪魔しちゃいけないことは、国際法でも定められているということを知ってるのかこの糞ボケ欧米人が ー ー ー ー ー!!!!!





こうしてビルグーンとの二人きりの夜は、空気の読めない欧米人の登場により木っ端微塵にぶち壊された。



その後の展開はどうなったかって? そんなの、言わなくたって分かるだろう?(号泣)