![]() 最初の難関、モンゴル紙幣の両替 |
| いったい誰が予想しただろうか。かわいらしい顔をした女性がガイドにつくなんて。 オレのような容姿端麗、頭脳明晰、その上性格も良し(いずれも自称)な男の相手にこんなカワイイ子を当ててしまったら、そりゃこの先どうなったって責任持てませんぜ。 まぁ旅行会社としては、オレの紳士的な対応から「この人なら信頼できる」と判断したであろう(たぶん)が、チ、チ、チ、男は皆、心のなかに獣を飼ってる生き物なんでっせ(そしてオレは、そんな獣に心を食い尽くされてる人間だと周りから罵られてるんでっせ(泣))。 ガイドさんの名前は「ビルグーン」といって、今回が初めてのガイドの仕事らしい。 彼女は14のころ山形へ留学しており、そこで一年間日本語を勉強して話せるようになったという。 ビルグーンの日本語は話していて不自由を感じない。でもネイティブの日本人と比べるとどうしても、たどたどしさが残っている。その「たどたどしさ」が彼女の容姿と相まって一層かわいらしく思えた。 ついでにいうと、オレたちが乗ってる車を運転している運転手さんは「プーチー」さんといい、日本の親方的な貫禄を持つ40過ぎの男である。 彼もまた、三年くらい日本で働いていたことがあり、日本語がよく話せる。 ちなみにオレは、はじめプーチーさんとビルグーンを親子だと思っていたが、どうやら二人は赤の他人らしい。 オレ、ビルグーン、プーチーさん、この三人が今回のモンゴル旅行記の主な登場人物である。 彼女たちと別れてウランバートルのホテルに泊まる。ホテルの部屋は思ったよりきれいであった。ちょっとした日本のビジネスホテルよりはよっぽど立派である。 それでも、エアコンがついてなかったり、お湯が出るのに30分かかったりするなど、いろいろ不自由な点があったりするのであるが。 さて、オレはここで済まさなければならないことがある。両替である。 トレッキングで向かうような奥地では円やドルが使えない。そして、そんな奥地では両替ができる場所など存在しないという。 ちなみに、モンゴルの通貨単位は「Tg(トゥグルク)」といって、日本円1円が約10Tgに相当する。また、日本で円⇔Tgの両替はできない。 本来こうしたことは、ビルグーンさんなど現地ガイドさんの力を借りて行うべきかもしれないが、彼女はオレとは別の場所に泊まっている。なので、両替交渉は自分自身の力で行わなければならない。いよいよキャバ嬢仕込みのモンゴル語が試されるときである。 「オーチラーラエ(すいません)、両替所はどこですか?」 ウエイトレスさんにモンゴル語で尋ねる。ちゃんと通じるのだろうか? ドキドキ。 彼女は無言で外のほうへ歩いていった。いったいどこに連れてくつもりなのか、本当にちゃんと通じているのかな? 不安になりかけたその時、とつぜん彼女が奇声をあげた。 「●○◎$&%*△▲◇◆××!!!」 ![]() びっくりして彼女を見ると、左脚から血が流れていた。 何事ぞと思う間もなく無言のまま一室に駆けこみ、そしてそれっきり二度と外に出てくることはなかった。 案内役のウエイトレスに捨てられて、ただ一人呆然とするオレ。 ・・・・・・ 「困ってる客を案内するのがアンタの仕事だろ! それでも客商売かコノヤロー! こんな所にひとり置き去りにして、オレはいったいどうすりゃいいんだよ!!!」 いっこうに部屋から出てこないウエイトレスの 彼もまた何も言わずに外へ向かった。ホテルの外に出るなり、オレに「ついてこい」と顎で指示する。 え、外!? 街の外といえば物売りや物乞いなどのモンスターたちが跳梁跋扈する無法地帯でしょ。そんなトコ歩いていたら、両替所に着く前にお金が半減してしまうのでは?オレの頭にはインドでインド商人たちに追いかけまわされた悪夢が、フラッシュバックのように甦ってきた。 案に相違して、物売りなどに遭遇することもなく、無事に両替所にたどりついた。 モンゴルの物価は日本の5分の1とも、10分の1とも言われているが、この先いくらのモンゴル紙幣を使うかは分からない。 とりあえず50ドル(5万Tg程度?)を渡して両替してもらおうとした。が、無言でつき返される。 なぜだ、ニセ札だったとでもいうのか!? 訴えるような目でボーイさんを見ると、やはり無言でボードを指差した。ボードの文字を読んでみる。 ”авах ханш” 読めねー(ToT) オレは迷える子羊のような目でボーイさんに助けを求めたが、彼の心はそんなオレの目を見ても何の変化も示さなかった。オ、オレはいったいどうすれば・・・ その下に「20、10、5」と書いてあったので20ドルを渡してみたら2万Tgに両替してくれた。 それにしても、さっきのウエイトレスさんといいこのボーイさんといい、こいつらどうして旅行客に対してムチャクチャ愛想が悪いのか? 困っている客を前にしても徹頭徹尾、無言、無表情で貫き通し、決して関わり合いになろうとしない。これだけ見た感じ、はっきり言ってメチャクチャ感じが悪い。 これがインドだったら、 「両替所だな、OK、任せとけ」 と何不自由することなく(闇)両替所に連れて行かれ、ついでにインド商人の押し売り攻撃を食らっていたことだろう。 そう考えるとオレは、あのフレンドリーなインド商人たちが懐かしく・・・ ならないな。 とまぁこんな感じで、インド人たちとモンゴル人たちの国民性の違いを考えながら、オレのモンゴル旅行初日は幕を閉じたのであった。 |